ナギとナツとクロ

   成長報告

 

「わたし、Cカップになりました」


「そういう報告はいらないから」


「嘘です。本当は2カップ増えるほどに成長してません」


「そういう嘘もいらない……」


「彼氏も出来ました」


「嘘だよね!?


「しかも五人です」


「ナ、ナツはどこだ! ナギちゃんが爛れた中学生になってしまった責任を取らせてやる!」


「いや、携帯電話のゲームの話ですよ」


「な、なんだ……。…………いや、それはそれで、なんかなぁ……」


「勘違いしないでください、腐ったわけじゃないですから」


「…………」


「……すいません、嘘です」


「いや、そういうカミングアウトを僕にされても困るんだけど」


「最近、お父さんが『よつばと』に感動して、わたしをわんぱくに育てようとんぱくに接してきます」


「いやな父親だな」


「土砂降りの日は『遊んで来いっ!』って言われます」


「やっかいな……」


「風邪を引いて、ものすごく謝られました」


「ナギちゃんもそこまで付き合うことないと思うけどね」


「それでもおとうさん、影響されてますけどね。苗字を『小岩井』にしたいって言ってました」


「ナツ……」


「『パンツマーン!』」


「ご愁傷さま」


「本当ですよ」


「僕から言っとくから」


「いえ、もう大丈夫です。度を過ぎたときは、手料理を作ってあげてますから」


「……まだ、駄目なの?」


「才能の芽が……」


「その才能の芽は、摘んじゃったほうがいいよ」


「今日のわたし日記。『クロさんに、「摘んじゃった♪」と言われました』」


「なにその悪意MAXな日記!?


「そういう嗜好のブログでも始めますか」


「やめて! それで友達に見られて『クロさんって誰!?』とかやめて!」


「じゃあ締めますか」


「なんで良い話で終わらせないんだよ……」


「明日、お暇ですか?」


「え? まあ、大丈夫だけど」


「そうですか。では、親子水入らずで出かけましょうか、お父さん」


「……超破壊力」


「いい振りしたのに、その締めは残念ですね……」

 

 


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